僕は最終列車に乗っていた。

出発まで、窓の外をぼんやり見ていたら

待ち合わせに遅刻する人

人の財布を盗もうとしている人

その罪を誰かに被せようとする人

そのウソにのせられて誰も信じようとしない人



見渡せば、みんな同じようなことを

やっているじゃないかと

人は人の波に身を隠す。

誰も叱る人がいないこの駅は

なんて悲しい駅なんだろうと

窓越しに見つめていた。


約束の時間になり

最終列車は駅を後にする。

誰も叱る人がいないその駅は

なんて悲しい駅なんだろうと

ぼんやり、ただぼんやりと思った。


















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